子宮頸がんワクチン副反応、自治体の独自支援広がる
「子宮頸がん予防ワクチン」の副反応をめぐる動きです。
国による推奨の一時中止から来月で2年が経ちます。
しかし、国による原因究明のための実態調査の結果もいまだに出ておらず、医療費支援も行われていません。
そんな中、「国が動くまで待てない」と、全国の自治体で独自の医療費支援などをはじめる動きが広がっています。
「車椅子で行って、帯で一瞬(体を)立てられるということで何とか撮ってもらって」
今年1月、成人式で赤い振袖姿で写真に写る酒井さん(20)。
子宮頸がんワクチンの副反応を訴えている1人です。
4年前に接種した後、発熱し失神。
その後、けいれんや手足の腫れ、歩行障害を発症しました。
先月、念願の大学に入学したばかりの酒井さんですが、実は今、16回目の入院生活を送っています。
接種後に現れた視野欠損が悪化し、視野の半分以上が見えなくなってしまったのです。
杖だけでなく、装具をつけないと立っていることもできません。
「何かひとつ改善したかと思うと、また次の症状が進行したり。いつになったら少し先が見えるんだろうと」(酒井さんの母親 智子さん)
ワクチンの接種と症状の因果関係について、国による検証が行われる一方で、症状を訴える患者にとっては、“今”かかる医療費が、大きな負担です。
「NEWS23」が去年、全国の患者に対し実施したアンケートでも、患者の半数が1か月の医療費およそ10万円以上の重い負担となっていました。
「特に検査費がかかる」という意見も多くありました。
そうした中で、今週、新たな動きがありました。
酒井さんの住む埼玉県ふじみ野市が子宮頸がんワクチンの副反応を訴える患者に対して、医療費などの支援を独自に始めることが明らかになったのです。
国による推奨が始まる前に任意で接種した人が対象で、これまで接種した人全員の追跡調査も行います。
「日常生活に支障をきたしている人がいるなら、市民に寄り添って援助できればと市長も考えている」(ふじみ野市保健センター、大竹寿枝センター長)
支援を始めたのはふじみ野市だけではありません。
少なくとも全国9都市が医療支援を決めていて、全国に先駆け、去年6月から始めた横浜市では先月末までに27人、合わせておよそ1400万円を支給しました。
茨城県牛久市では、運動障害などの症状を訴える患者の通う中学校のトイレや昇降口を、車いすに対応できるように改修しました。
患者は国や製薬会社に対して、医療費などの支援を求めていますが、いまだ行われていません。
薬などの副作用被害者救済制度を運用する医薬品医療機器総合機構には、これまで86件の申請がありましたが、支給は18件、不支給は9件、大半が審査待ちの状態だといいます。
自治体の支援が決まった酒井さんですが、母親は「国に動いてほしい」と訴えます。
「(副反応を訴える少女たちに)ちゃんと大人は責任を取って、みんなを見放さずに見守っていくと言ってあげたいです」(酒井さんの母親 智子さん)
(2015年5月28日23:34)